歯の詰め物や被せ物の寿命を数十年にするために必要なこと。歯の寿命も延びます。

虫歯の再発防止と歯に詰める物や被せる物について

虫歯の治療をしたのに、虫歯がまた再発した、詰めたものが取れてしまった、被せていたものが割れてしまった・・・こんな話を耳にしたことがある、または実際に経験お持ちの方いらっしゃることでしょう。せっかく治療したのに、また治療なんて・・・イヤですよね。

何度も治療をするということは、それだけ歯を削るということ。つまり歯が無くなるまでの期間、寿命が短くなります。

例えば歯を削って詰め物を入れます。数年後詰め物がきちんと合っていないために虫歯になってとれてしまいます。そうするとまた歯医者に行き、歯をけずりまた詰め物を詰めるそれが何度も繰り返される度に歯の削られる部分が多くなってしまいやがて神経を処置せざる得なくなります。

さらには神経をとると歯は、よく「枯れ木」に例えられますが、枯れ木は一見丈夫そうにみえますが、中は栄養が行き届いていないのでもろくなっています。 生きている歯の神経は常に歯の硬さや再生を支配しています。歯の神経が死んでしまうという事は、その歯に栄養分が行かなくなってしまいます。従って弱くなり、割れやすくなります。 暫く神経を処置した歯をそのままの状態で使っているともろくなっているので人間の噛む力は自分の体重分位噛む力が強いので、今度は歯にヒビが入って来ます。 歯がヒビがはいりますと、これは大変です。最悪は歯を抜かざる得なくなります。(俗に歯牙破折と呼ばれています。) これが歯の寿命が短くなる原因にもなります。

治療した歯が何度も悪くなる原因とは?

治療したものがダメになる理由は大きく分けると2つあります。

  • まず歯みがきがきちんと出来ていない
  • 詰め物や被せ物が歯にぴったり合っていない

正しい歯の磨き方をしている人が少ない!

きちんとした歯磨き。これは、皆さんが考えているよりかなり難しいと言われています。一生懸命に磨いてもお口の中の汚れは、約20%は磨き残しがあると言われています。これはお口の中の面積での話なので、イメージが湧かないと思いますが、28本ある歯のうち数本は磨けていない、磨いていないのと同じといえます。勿論、磨けていない面積の話になりますが。

歯の正しい磨き方を身に付ける方法とは?

では、どうしたら歯磨きが十分に出来るようになるのか? プロに教わるのが一番です。 正しい歯の磨き方というのは、実際は人それぞれなのです。人によって歯並び、歯の生え方、形、大きさは様々です。つまり上手く磨けない部分は人それぞれです。ですから、自分にとって正しい磨き方はオリジナルなのです。どうすれば、そのベストな磨き方を身につけるには、歯磨きの専門家に習うのが一番の近道だと思います。(例えば、歯科衛生士などですね。) 1度習ってしまえば、あとは勉強と同じで応用です。具体的には、習った事を何回も復習する。復習を続けていけば、自ずと身についていくものです。先ずは習う、これがきちんとした歯磨きが出来るようになるために必要です。だからこそ、歯科衛生士という資格があり、職業があるのです。歯科衛生士は、いわば歯ブラシの勉強の先生みたいな存在です。生徒にあった歯みがきの仕方を教えてくれます。ですから、歯みがきを習うのは、是非、衛生士の資格があるベテランに習うのがわかりやすいと思います。 歯みがきが不十分ですと、健康な歯でも虫歯になる可能性はあります。お口の中には虫歯にするばい菌が常にいますからね。毎日歯みがきをがんばっているのに何故か何度も虫歯になってしまう・・・この場合は、詰め物、被せ物に原因がある可能性が高いです。

虫歯の再発を招いてしまう詰め物と被せ物とは?

詰め物や被せ物が歯にぴったりと合っていないと、隙間や引っ掛かりが生じます。これは、ご自分で気づけないくらい小さく、目で見て確認できないくらい小さくても、ばい菌のすみかができてしまい、虫歯になってしまいます。 つまり、詰め物や被せ物が、限りなく精巧につくられて、ぴったりあっていれば,ばい菌が入らなくなりよいのです。 しかし、これを作るのは簡単なことではありません。 ですから、歯科医院はたくさんあり、通う人が多いともいえます。それは医院により被せ物や詰め物の精度も違います。もちろん医院の考え方も違いますので、新しい方が良いと思っている歯科医院もあるでしょう。

歯にぴったりと合う詰め物、かぶせ物の製作に欠かせないこと

歯医者でむし歯の治療で歯を削られてから「次に型をとりますね」と言われた記憶、きっとおありでしょう。 この型を歯科用語で『印象』といいます。 歯の詰め物や被せ物を作る時に大切な事は、お口の中から外すときにゆがまない型を採る事、つまり精密な『印象』を採る事なのです。

精密かつ正確に製作することは難しい!

ここで、詰め物や被せ物の製作手順を説明いたします。

  1. 型を患者さんからとります。
  2. 採った型に石膏を継ぎます。ここで、模型とよばれる詰め物や被せ物を実際につくる物体が出来上がります。
  3. 模型をもとに、技工士さんや医者自身がワックスとよばれる、ろうそくの材料で詰め物や被せ物を作ります。
  4. 鋳造とよばれる作業で実際に金属に被せ物や詰め物を代えていく作業です。
  5. 研磨、鋳造して出来上がった詰め物や被せ物をピカピカに磨く作業です。

こうして、患者さんのお口の中に入れる詰め物や被せ物が出来上がります。 私達、歯科医師は、学生時代にこの工程を実際に行ない大学病院で詰め物や被せ物をつくる実習を行います。これだけ多くの工程を経るわけですから、『印象』が少しでも歪んでいればば、工程を経るたびに歪みが大きくなっていきます。 どんなに一生懸命につくっても『印象』が歪んでいますと、実際患者さんのお口の中に入れてみますと、ガタついていて細かいところに隙間が出来たりしました。ましてや入らないこともありました。 『印象』の精密さが、詰め物、かぶせ物がお口に合うか合わないかを決定します。『印象』が精密でないと詰め物、かぶせ物は歪みます。お口にいれてからのガタツキや段差などを感じますし、削るなどの調整が必要になります。これはのちのち痛みを感じたり、何より入れたものの寿命が短くなる可能性は否定できません。 だって出来上がったものは、完成品として形、つや、バランスを整って納品されてきます。その完成品をいじることは、多少の調整は仕方ないとしても姿、形を変えてしまう事になるからです。この調整がほとんど必要ないのがベストであり、そのためには精密かつ正確な『印象』でないといけないのです。

精密な『印象』を、何でつくるべきなのか?

『印象』は型ですので、その型が変形してしまっては元も子もありません。しかし、変形して歪んでしまいがちなのです。それはなぜかといいますと、歯と歯肉にはそれぞれゆるいカーブを描いています。従って型を外す時は弾力性が必要になります。この弾力性がしっかりと元の位置に戻らないといけないのです。

ですから弾力性と形状を保持できるか否かがカギですので、『印象』の素材選びが、とても大切です。『印象』の素材のことを印象材といいます。 色々な印象材がありますが、型をお口の中から外した時に比較的安定しているのは、現在では、シリコンとよばれるゴムの『印象材』です。シリコンは、通常、固まるまで時間がかかるし、素材の値段としては高いなどの欠点もありますが、歯にピッタリした被せ物をつくるためにはベストな素材だと思います。

実は私も昔寒天とよばれるゼラチンに似たものとアルギンとよばれる海藻からできている材料を合わせて印象を採っている時期もありました。詰め物や被せ物は、やはり満足出来る物ではありませんでした。

保険診療でも『印象材』にはこだわる必要があると思います。

自費診療においては保険対象としては認められていない技術や機器を使えますので精密な『印象』つくりは当然なのですが、国が認めている範囲内でしか行えない保険診療でも精密さにはこだわるべきです。 保険診療で使用できる印象材は、決まっています。しかし、残念ながら、その材料では、精密さ、正確さの面で限界があります。ですから、赤字になったとしても、歯科医師は、印象材にはこだわるべきなのです。もちろん保険制限内で、保険適用されない高価な材料を使えば使うほどマイナスです。ですから、何でもかんでも良い物を提供はできません。潰れてしまいます。しかし、最低限、ここだけは身を削ってでも抑えておきたい、それが印象材だと思います。

詰め物や被せ物の未来

現在、マイクロスコープという歯科顕微鏡がありますので、詰め物や被せ物が精密に作られたかどうかを患者さまご自身の目でご確認いただけるようになりました。 マイクロスコープの倍率は、通常の技工士さんがつくるのに使う顕微鏡より倍率が高いので、保険診療で詰め物や被せ物をつくった場合は、ちょっと見せたくない部分もでるかもしれません。。。 でもしっかりと患者さんにはお見せする必要はあると思います。

肉眼レベルで見えなかったものまで、患者さんご自身の目でみることができる、これからは、そういう時代なのです。ごまかしは通用しません。歯科医師も技術を磨いて、より高度な治療を提供しないといけません。

技術といえば、最近の注目は、コンピューターでスキャンして作る、CADCAMという機械も出てきています。(今年の4月より保険導入されました。)精度は残念なことに今1つ悪いのが現状(つまりすき間だらけです。)ですが、今後数十年後には、かなり精度が高いスキャナーが出て来る時代だと思います。最近では3Dプリンターも話題ですしね。私も今後の詰め物や被せ物の精度をみてこれからは必要な機械であれば使っていきたいと思います。今現在では、コンピューターには負けていません(笑)

時代は常に変化します。良い方向にも悪い方向にも代わっていきます。私達、歯科医師は、常に患者さんに良いものを出来るだけ安く提供出来れば良いのですが、残念なことにそれでは価格競争に飲み込まれてしまいます。吉野家の良い点、安くて上手くて早い。これが患者さんが望む事ではないのかな?と思います。 ただ、現時点の保険制度では、これが難しいのが現状です。

ちょっと高いが、上手で早い。これが患者さんが望む歯科治療ではないでしょうか?

被せ物や詰め物が精巧につくる事が出来れば、トラブルなく何十年と治療した歯が持ちます。

自分が治療した歯がダメになってしまうのは、歯科医師として恥ずべきこと。 私は、心からそう思っています。

歯の寿命について

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世田谷区の松原(明大前~下高井戸エリア)で高倉歯科マインドクリニックを平成元年に開業しました。マインドというのは、患者さんの気持ちに応える医者でありたいという強い思いを込めています。 歯でお悩みの方がいたら一人でも多く助けてあげたい、地域医療へ貢献したい、そして、日本一の「街の歯医者さん」になるために日々診療にはげんでおります。

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